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示談・慰謝料のツボ

高次脳機能障害の示談・慰謝料のツボ高次脳機能障害は、社会生活上の困難を伴う重篤な後遺障害です。従来の仕事が継続できなくなったり、進学が困難になったりと、労働能力に直結する障害であるとともに、将来の介護の不安など、ご本人やご家族に降りかかる心配は尽きないものと思われます。

交通事故による高次脳機能障害の場合、加害者側の保険会社から適切な賠償を受けるために気をつけなければならないツボは、2点、つまり、後遺障害等級認定裁判基準です。

(1) 後遺障害等級認定

上記のとおり、それぞれの方について様々な症状が生じる高次脳機能障害ですが、その障害の度合いを測るために、後遺障害等級というものがあります(これは、高次脳機能障害以外の後遺障害も同様です。)。

より妥当で高額な賠償を得るためには、より高い等級(つまり、9級よりも5級、5級よりも1級)をとる必要があります。そして、そのためには、主治医に日頃の症状を話して、適切な「神経系統の障害に関する医学的所見」を作成してもらうことと、家族や介護者が丁寧で説得的な「日常生活状況報告書」(とさらに詳しい報告書)を作成することなどが必要となります。

後遺障害慰謝料労働能力喪失率・逸失利益なども、原則として、この後遺障害等級によって判断されることになります。

なお、後遺障害等級を認定する機関は、一次的には、損害保険料算出機構です。但し、認定された後遺障害等級については異議を出すことは可能ですし、裁判になってから、損害保険料算出機構の認定した後遺障害等級以上の等級を主張することも可能です。

後遺障害等級認定についての詳細はこちらをご覧ください。
» 高次脳機能障害の後遺障害等級

(2) 裁判基準

また、適切な後遺障害等級認定が取れたとしても、それだけで安心してはいけません。相手方保険会社が提示する金額は、あくまで任意保険基準であり、裁判所が判断する賠償額(裁判基準)とは大きく異なります。本来であれば、裁判所が判断する賠償額(裁判基準)が正しい賠償額の基準であり、加害者側保険会社は自ら進んで裁判基準と同水準の示談額を提示すべきなのでしょうが、現実問題として、保険会社の対応は異なります。その事実を知らなければ、保険会社が提示する不当に安い金額で示談してしまうことになりかねません。

裁判基準に則した妥当な額の賠償を受けるためには、弁護士に依頼して、交渉や裁判の代理をしてもらうべきです(基本的には裁判をしてください。交渉だけでは満足な結果を得ることは困難です。)。

そうは言っても、弁護士費用が高くてかえって損をするのではないか……と思われる方もいらっしゃるかも知れません。確かに、同じ交通事故でも、物損で数十万円を請求するケースなどであれば、弁護士を付けることをお勧めしない場合もあります。数十万円の請求のために弁護士に着手金と報酬を支払うと、賠償金のほとんどが弁護士費用に消えてしまうというケースもあるからです。

しかしながら、高次脳機能障害の場合、弁護士に依頼した方が、結果として得をするケースがほとんどです。それほどまでに保険会社の提案する任意保険基準と、裁判基準というのは大きく違うのです。

さらに、判決の場合、本来の賠償金に加えて、遅延損害金(年利5%)と弁護士費用の一部(賠償金の10%程度)が加算された金額が支払われることになります。

たとえば、3年前の事故について、任意保険から2000万円の示談金が提示され、裁判基準レベルで5000万円を請求する場合、損害金5000万円の10%(500万円)が弁護士費用の一部として加算され、さらに、その5500万円に、3年分の利息15%(5500万円×0.15=825万円)が加算された金額(合計6325万円)の賠償を受けることが可能になります。

結果として、裁判基準レベルの5000万円の請求に1325万円が加算されることになり、任意保険基準とは大きく違う賠償を得ることができるようになります。当然、加算された金額の一部を弁護士報酬として払ったとしても、加算された金額の大部分はお手元に残ります。

加害者側保険会社から提示される示談額は、あまりに低く、その金額だけでは、とてもご本人やご家族の将来の生活を維持することは困難な場合がほとんどです。

高次脳機能障害が残存する交通事故の場合、保険会社の示談額にそのまま応じることは絶対に避けるべきです。このことだけは、忘れないでください。

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